低身長治療の相談、初診ではこんなことをします ― カウンセリングの流れと準備しておくこと
「身長のことが気になるけれど、病院に行って何をされるのか分からない」「相談に行ったら、いきなり治療の話をされるのではないか」。初めて受診を考えるとき、こうした不安を抱かれるのは、ごく自然なことだと思います。
日々の診療で、お子さまの身長について真剣にお悩みのご家族とお会いするなかで感じるのは、初診のイメージが湧かないために、受診をためらっておられる方が少なくないということです。
お子さまの身長が伸びる時間には限りがあります。だからこそ、現在の状態と、これから期待できる伸びしろを、正確に知っておくことが大切です。当院の初診カウンセリングは、そのための時間です。
この記事では、初診(カウンセリング)の流れと、受診前に準備していただきたいことをご紹介します。当院では、おおむね6歳から18歳のお子さまのご相談をお受けしています。お子さまの将来の身長について、しっかり向き合いたいとお考えのご家庭の方に向けてお届けします。
目次
カウンセリングの目的―お子さまの「今」と「これから」を知る
まず、初診のカウンセリングでは何を目的にしているのかをお話しします。
一言でいえば、お子さまの「今」と「これから」を、できるだけ正確に把握することです。
身長は、ご年齢だけでは判断できません。同じ12歳でも、すでに成長が終盤に入っているお子さまもいれば、これから大きく伸びる時期を迎えるお子さまもいます。見た目や、今の身長の数字だけでは、その違いは分からないのです。
身長が伸びる仕組みを少しご説明します。骨の端には「骨端線(こったんせん)」と呼ばれる軟骨の層があり、ここで新しい骨が作られることで、身長が伸びていきます。思春期が進むと、この骨端線は少しずつ閉じていき、閉じたあとは、その骨が長くなることはありません。骨端線が閉じる時期は個人差がありますが、一般的には、女の子で14〜16歳ごろ、男の子で16〜18歳ごろとされています。
つまり、お子さまの身長を考えるうえでは、「今どのくらいの身長か」だけでなく、「成長の時間がどのくらい残っているか」を知ることが重要になります。
カウンセリングでは、次のことをお伝えできるよう、お子さまの様子を拝見します。
- 現在の成長の状態(これまでの伸び方、思春期の進み具合)
- 身長がまだ伸びる可能性があるかどうか
- 今後の見通しと、取り得る選択肢
そのうえで、治療をするのか、経過を見るのか、ご家庭で納得して選んでいただく。そのための情報をそろえることが、カウンセリングの意義だと考えています。
受診前にご確認いただきたいこと
カウンセリングを充実したものにするために、受診前にご確認いただきたいことをお伝えします。
◆問診票について
当日、問診票にお子さまの情報をご記入いただきます。
そのため、事前に次のような情報を確認しておいていただくと、当日スムーズにご記入いただけます。
- これまでの身長の推移(特に直近3年間ほど。学校の健康診断の結果などで確認できます)
- ご両親の身長(分かる範囲で)
- 身長について気になっていること、ご希望
- お子さまの普段の生活(睡眠、食事、運動の様子)
正確な数字が分からない部分は、分かる範囲で構いません。
◆ご来院いただく方について
カウンセリングには、お子さまと保護者の方でお越しいただくことをお願いしています。
お子さまだけでの受診はお受けしていません。治療には保護者の方の同意が必要で、治療費もかかります。ですから、保護者の方にもお話をお聞きいただく必要があります。
一方、保護者の方だけでいらっしゃると、医師がお子さまの様子を直接拝見することができません。成長の状態は、実際にお子さまを診てみないと判断しにくい部分があります。ですから、お子さまも一緒にお越しいただくのが望ましいと考えています。
なお、まずは保護者の方だけでお話を聞いて、治療を行うかどうかをご家庭で判断したい、というご希望にも対応は可能です。その場合、お子さまの様子は確認できないため、成長の状態の評価は、お子さまがお越しいただけた際に行います。
カウンセリングは、お話を伺うところから始まります
カウンセリングは、まず測定と問診から始まります。
◆身長・体重の測定
はじめに、院内で身長と体重を測定します。これは、すべてのお子さまに行っています。ご家庭や学校での記録とは、測る場所や時間帯が違うことで、数値に多少の差が出ることがあります。当日の正確な数値を、当院で把握しておくために行っています。
◆問診
次に、ご記入いただいた問診票をもとに、お話を伺います。
- これまでのお子さまの成長の様子
- 身長について、いつ頃から気になり始めたか
- ご家庭でお考えのこと、ご希望
- お子さま自身の気持ち
『背を伸ばしたい』と思っているのがお子さま自身なのか、保護者の方が心配されているのかなど、ご状況をお伺いします。ご本人に意欲があるほうが、治療に取り組みやすいため、お子さまのお気持ちも大切にしています。
緊張されるお子さまも多いので、リラックスしていただけるよう、雰囲気づくりを心がけています。
医師のカウンセリングで確認すること ― 身長の推移・思春期の進み具合
カウンセリングで、特に注意して確認するのは、次の2点です。
◆身長の推移
直近3年間ほどの身長の記録をもとに、お子さまの身長が、これまでどのように伸びてきたかを確認します。見ているのは、次のような点です。
- 1年間にどのくらい伸びているか
- 伸びが加速しているのか、落ち着いてきているのか
- 成長スパートが来ているかどうか
思春期に入ると、身長の伸びは大きく加速します。この時期を「成長スパート」と呼びます。その時期に入ったところなのか、すでにピークを過ぎているのかによって、これから期待できる伸びしろは大きく変わります。直近数年間の推移を見ることで、お子さまが今どの段階にいるかが見えてきます。
◆思春期(二次性徴)の進み具合
もう一つは、思春期がどの段階にあるかです。二次性徴とは、思春期に現れる体の変化のことで、思春期のスイッチが入っているかどうかを知る、大切な手がかりになります。
女の子の場合、一般的には次のような変化が見られます。
- 乳房がふくらみ始める
- 陰毛や脇毛が生える
- 初経(最初の月経)を迎える
男の子の場合、一般的には次のような変化が見られます。
- 精巣(睾丸)が大きくなり始める
- 陰毛が生える
- 声変わりやひげなど、体つきが大人に近づく
これらは、成長が順調に進んでいるサインです。同時に、身長の伸びが後半に近づいているサインでもあります。
たとえば女の子の場合、乳房がふくらみ始めてから、あまり間を置かずに成長スパートを迎えます。初経は、その伸びのピークを過ぎたあとに来ることが多く、初経後に伸びる幅は大きくありません。男の子の場合は、精巣が大きくなり始めてから約1年後に、成長スパートが始まるとされています。声変わりは、成長スパートの後半から終盤にかけて起こることが多い変化です。ただし、変化の順序や時期には個人差があります。
こうした変化があったかどうか、あったとすればいつ頃からかを、お話の中で伺います。
なお、この確認のために、触診を行ったり、服を脱いでいただいたりすることはありません。保護者の方やお子さまからお話を伺い、お子さまの様子を拝見しながら、医師が判断します。お子さまが恥ずかしい思いをされることはありませんので、ご安心ください。
検査で分かること ― 骨端線の状態を確認します
身長がまだ伸びる可能性があるかどうかは、骨端線の状態を確認することで、より客観的に評価できます。
骨端線は、手や足の先から体の中心に向かって、徐々に閉じていきます。そのため当院では、手のレントゲンに加えて、体の中心部にあたる骨盤部の骨端線も確認し、身長がまだ伸びる可能性を評価しています。骨盤部の骨端線の評価は、CT検査で行います。最新の機器を使用しており、被ばく量は低く抑えています。検査についてご心配な点があれば、検査の前に遠慮なくお尋ねください。
ただし、これらの検査を、すべてのお子さまにお受けいただくわけではありません。お子さまのご年齢やご様子を拝見したうえで、手のレントゲン検査や骨盤部のCT検査が必要かどうかを判断し、ご案内します。
検査を当日に行えるか、後日になるかは、当日のスケジュールによって変わります。当日に検査をお受けいただける場合もあれば、日を改めてお越しいただく場合もありますので、あらかじめご了承ください。
血液検査については、基本的に、治療を始めることを前提とした場合に行います。ただし、ご希望や必要に応じて、カウンセリング当日にご案内することも可能です。
お子さまのご年齢や状況に合わせて、適切な検査と治療を行っていくことが大切だと考えています。
結果のご説明と、その後の選択肢
検査を行った場合は、その結果も踏まえて、院長から直接ご説明します。検査の結果は当日にご説明できる場合と後日になる場合があります。
手のレントゲン検査の結果は、当日にご説明できます。一方、CT検査と血液検査については、結果が出るまでに時間がかかるため、後日のご説明になることが多くなります。
ご説明では、次のようなことをお伝えします。
- お子さまの現在の成長の状態
- 骨端線の状態から見た、身長がまだ伸びる可能性
- 今後の見通し
- 治療を行う場合の考え方
治療を行うかどうかは、あくまでご家庭の判断です。お子さまの気持ち、ご家族のお考え、通院の負担や費用などを踏まえて、納得して決めていただくことが大切だと思っています。
その場で決めていただく必要はありません。ご説明を聞いたうえで、ご家族でゆっくり話し合い、ご判断いただければ結構です。
治療を選ばれる場合も、経過を見ることを選ばれる場合も、お子さまの将来の身長について、きちんと情報を得たうえで選んでいただく。それが、当院がカウンセリングで目指していることです。
まとめ
今回は、初診のカウンセリングで行うことをご紹介しました。流れを整理します。
- お子さまと保護者の方でご来院、問診票にご記入
- 院内で身長・体重を測定
- 院長によるカウンセリングを行い、これまでの成長の様子とご希望を確認
- 身長の推移と、思春期の進み具合を確認
- 必要に応じて、手のレントゲン検査や骨盤部のCT検査をご案内
- 結果をご説明し、今後の選択肢をご案内
身長が伸びる時間には限りがあります。だからこそ、「今どの段階にいるのか」「これからどのくらい伸びる可能性があるのか」を知ることが、お子さまの将来を考える土台になります。
お子さまの将来の身長について、ご家族でしっかり考えたいとお思いの方は、ぜひ一度、ご相談ください。


