骨端線とは?レントゲンやCTで何がわかるのか
身長のご相談で、「骨端線はまだ残っていますか?」「骨端線が閉じたら、もう伸びないのでしょうか?」というご質問をいただくことがよくあります。「骨端線」や「成長線」という言葉は耳にしたことがあっても、体のどこにあり、どのような働きをしているのかは、あまり知られていないように思います。
骨端線は、お子さまの身長が「まだ伸びる可能性があるのか」を考えるうえで、大きな手がかりになる部分です。年齢や見た目、今の身長の数字だけでは分からない成長の段階を、骨端線の状態から知ることができます。
この記事では、骨端線とは何か、どのように閉じていくのか、そして画像検査で何が分かるのかを、できるだけ分かりやすく解説します。お子さまの身長について、しっかり向き合いたいとお考えのご家庭の参考になれば幸いです。
骨端線(成長線)とは何か
骨端線とは、骨の端にある、軟骨でできた層のことです。専門的には「成長軟骨板」とも呼ばれます。レントゲンで撮影すると、骨の端に線のように写ることから、「成長線」とも呼ばれています。
この骨端線が、身長を伸ばす「工場」の役割を担っています。骨端線では、軟骨の細胞が増えながら新しい骨に置き換わっていきます。この働きが繰り返されることで、骨が少しずつ長くなり、結果として身長が伸びていきます。
たとえば、太ももの骨(大腿骨)やすねの骨(脛骨)は、身長に特に大きく関わる骨です。これらの骨の端にある骨端線が働き続けることで、脚が伸び、体全体が大きくなっていきます。
骨端線がある間は、骨は長くなることができます。つまり、骨端線が残っているかどうかは、「身長がまだ伸びる余地があるか」を考える際の、大切な目安になります。
一方、大人の骨には、この軟骨の層はありません。思春期を経て骨が成熟すると、骨端線はなくなり、骨は一つのかたまりとして完成します。これが「骨端線が閉じる」ということです。
骨端線は、どのように閉じていくのか
骨端線は、ある日突然閉じるわけではありません。思春期の間に、時間をかけて少しずつ閉じていきます。
思春期に入ると、性ホルモンの分泌が活発になります。性ホルモンは、身長を大きく伸ばす力を持つ一方で、骨の成熟を進める働きもあります。この働きによって、骨端線の軟骨は少しずつ薄くなり、やがて骨に置き換わって閉じていきます。以前のコラム「思春期・二次性徴と身長の関係」でもお話ししたとおり、思春期は「大きく伸びる時期」であると同時に、「成長の終わりに向かう時期」でもあるのです。
骨端線が閉じる時期の目安は、一般的に、女の子で14〜16歳ごろ、男の子で16〜18歳ごろとされています。ただし、これはあくまで目安です。思春期の始まる時期や進み方には個人差が大きく、同じ年齢でも、すでに閉じているお子さまもいれば、まだ十分に開いているお子さまもいます。
骨端線が閉じたあとは、その骨がそれ以上長くなることはありません。そのため、骨端線が完全に閉じてしまうと、身長が大きく伸びることは期待できなくなります。
ここで知っておいていただきたいのが、骨端線が閉じる「順番」です。骨端線は、体のすべての部位で同時に閉じるわけではありません。手や足など、体の末端から先に閉じていき、最後に、体の中心部に近い部分が閉じていきます。
この順番は、後ほどご説明する画像検査の考え方に、大きく関わってきます。
骨端線を調べると、何が分かるのか
骨端線の状態は、画像検査で確認することができます。レントゲンやCTで撮影すると、骨端線が「まだ開いているのか」「閉じ始めているのか」「すでに閉じているのか」を見分けることができます。
この情報から、次のようなことが分かります。
- 骨端線がどのくらい残っているか
- 成長がどの段階にあるか
- 身長がまだ伸びる可能性があるかどうか
身長のご相談では、お子さまのご年齢や、現在の身長の数字に目が向きがちです。しかし、年齢や身長だけでは、成長の段階までは分かりません。
たとえば、同じ13歳のお子さまが二人いるとします。一人は、思春期が始まったばかりで、骨端線が十分に開いています。もう一人は、思春期が早く始まっていて、骨端線がすでに閉じ始めています。この二人は、見た目や年齢が同じでも、これから期待できる身長の伸びは大きく異なります。
こうした違いは、お子さまの様子を見たり、お話を伺ったりするだけでは、判断しきれません。骨端線の状態という客観的な情報があることで、現在の成長の段階を、より正確に把握することができます。
また、身長の推移や、思春期(二次性徴)の進み具合とあわせて見ることで、お子さまの状態を総合的に評価することができます。画像検査は、それらの情報を補い、確かめるための手がかりになるのです。
手のレントゲンで分かること
骨端線を調べる検査として、まず行われるのが、手のレントゲン検査です。
手には、小さな骨がたくさん集まっています。それぞれの骨の端にある骨端線の状態を、一度の撮影でまとめて確認できるため、成長の状態を調べるのに適した部位とされています。当院では、基本的に左手で撮影します。
検査の流れはシンプルです。撮影台に手を置き、数枚の撮影を行います。所要時間は、おおよそ5〜10分です。痛みはなく、お子さまが負担を感じることはほとんどありません。レントゲン検査は、被ばく量の少ない検査です。
結果は、検査当日にご説明することができます。手の骨端線がどのような状態か、お子さまの成長がどの段階にあるかを、画像をご覧いただきながらお伝えします。
ただし、手のレントゲンで分かることには限りがあります。前の項でお話ししたとおり、骨端線は、手や足など体の末端から先に閉じ、最後に体の中心部が閉じていきます。つまり、手の骨端線がすでに閉じていたとしても、体の中心部に近い部分は、まだ開いている場合があります。
反対に、手の骨端線がまだ十分に開いていれば、体の中心部も、まだ成長の余地が大きいと考えられます。このように、手のレントゲンは、成長の状態を知るための大切な第一歩です。そのうえで、お子さまのご年齢や状況によっては、さらに詳しく調べる検査が必要になることもあります。
骨盤部の骨端線を確認する意味
手のレントゲンだけでは判断しきれない場合に、体の中心部にあたる骨盤部の骨端線を確認することがあります。
骨盤は、体の中心に位置しています。先ほどお話ししたとおり、骨端線は体の末端から中心に向かって閉じていくため、骨盤部の骨端線は、全身のなかでも最後のほうに閉じる部分のひとつです。そのため、この部分の状態を確認することで、身長がまだ伸びる可能性を、より詳しく評価できます。
当院では、手のレントゲンに加えて、体の中心部にあたる骨盤部の骨端線も確認し、身長がまだ伸びる可能性を評価しています。骨盤部の評価は、CT検査で行います。
とはいえ、この検査をすべてのお子さまにお受けいただくわけではありません。お子さまのご年齢や、思春期症状の進み具合などを見て、手のレントゲンか、骨盤部のCTかをご案内します。まず手のレントゲンで骨端線の状況を確認し、その結果を踏まえて、骨盤部のCTをご案内することもあります。
CT検査の所要時間は、おおよそ1時間弱です。痛みはありません。最新の機器を使用して撮影するため、被ばく量は低く抑えられています。ただし、手のレントゲンと比べると、被ばく量は増えます。検査についてご心配な点があれば、検査の前に、遠慮なくお尋ねください。そうしたお気持ちを踏まえたうえで、検査の必要性を、ご家族と一緒に考えていきます。
CT検査の結果は、手のレントゲンと違って、後日のご説明になることが多くなります。結果が出るまで少しお待ちいただきますが、お子さまの状態を丁寧に評価したうえで、ご説明します。
検査の結果は、どう活かされるのか
画像検査で分かった骨端線の状態は、それだけで何かを決めるものではありません。お子さまの現在の状態と、これからの見通しを知るための材料です。
結果をもとに、次のようなことをお伝えします。
- 現在の骨端線の状態
- 身長がまだ伸びる可能性がどの程度あるか
- 今後の見通し
- 治療を行う場合の考え方
治療を行うかどうかは、あくまでご家庭の判断です。検査を受けたからといって、必ず治療を始めなければならないわけではありません。お子さまのお気持ち、ご家族のお考え、通院の負担や費用などを踏まえて、納得して決めていただくことが大切です。
そのうえで、検査を受ける時期についても、お伝えしておきたいことがあります。骨端線は、時間とともに閉じていきます。お子さまの状態を知るのが早いほど、治療を行うか経過を見るかを、時間をかけて落ち着いて考えることができます。反対に、判断までの時間が限られてくると、選べる選択肢も少なくなっていきます。
だからこそ、お子さまの将来の身長について真剣に考えたいとお感じになったときが、現在の状態を確認するタイミングだと考えています。
まとめ
今回は、骨端線(成長線)と、画像検査で分かることについてお話ししました。ポイントを整理します。
- 骨端線は、手足の長い骨の端にある軟骨の層で、身長が伸びる「工場」の役割を担っている
- 骨端線は、思春期の間に少しずつ閉じていき、閉じたあとは骨が長くなることはない
- 骨端線は、手や足など体の末端から先に閉じ、最後に体の中心部が閉じていく
- 手のレントゲンでは、骨端線の状態を確認でき、結果は当日にご説明できる
- 骨盤部のCT検査では、体の中心部の骨端線を確認し、身長がまだ伸びる可能性をより詳しく評価できる
- 検査は、ご年齢や思春期症状の進み具合を見て、必要なものをご案内する
年齢や見た目、身長の数字だけでは分からない成長の段階を、骨端線の状態から知ることができます。お子さまの将来の身長について、ご家族でしっかり考えたいとお思いの方は、ぜひ一度ご相談ください。初診カウンセリングの流れについては、別の記事でご紹介していますので、あわせてご覧ください。


